神奈川県からIターン

高須賀 千江子さん

 ずっと探し求めていたものや、憧れていたものが全てここにありました。

 

神奈川県横浜市生まれ。10歳より演劇を始める。

18歳よりコンテンポラリーダンスを始め、数々の舞台に出演。平成22年より神々に舞を捧げる「自然光ダンサー」として活動を開始。平成24年に出雲市に移住。出雲を拠点にダンサーやヨガ講師などとしてアーティスト活動を精力的に行う。

 

 

出雲への移住を決めた経緯は?

 ダンサーとして国内外で活動する中で「私は、ダンスの何に心惹かれているのだろう」と自問自答していた時期がありました。そして、行き着いたのが「土地に根付いた舞」でした。例えば、年に1度のお祭りで、豊作の感謝を神様に捧げてみんなで舞う。それは土地に根付いていて親から子へと継承されていく…そんなことこそが、自分のダンスの原点だということに気づきました。

 

 しかし、私は都会育ちだったためそういった経験が一切なく、原点が自分の中に欠けているような感覚でした。いつか、そんな文化の根付いている土地に身を置き、住みながら舞を学んでみたいと考えていました。

 

 スペインやフィリピンなど海外も検討していたのですが、ひょんな縁で訪れた出雲に大きな魅力を感じ、何度か通うようになりました。出雲大社をはじめとした神社、何気ない暮らしの中に根付く「神様を大切にする」文化…。中でも、伝統文化「大土地神楽(おおどちかぐら)」の舞は魅力的でした。海外ではなく日本の出雲に、私のずっと探し求めていたものや、憧れていたものが全部あったのです。出雲に移住し、神楽を学びながらアーティスト活動を行っていくことを決めました。

 

 

移住後のお仕事は?

 移住して3年がたちましたが、出雲を拠点にダンサーやヨガ講師などとして、アーティスト活動を精力的に行っています。また、都市部に在住するアーティストに出雲で滞在してもらい、地元住民との交流をしながら作品を制作してもらう「出雲やおよろずアートプロジェクト」という事業も立ち上げ、これまでに3回実施しました。

移住にあたっては、公益財団法人ふるさと島根定住財団UIターンしまね地域づくり活動体験事業という移住希望者のための助成金を2年間活用していました。

 

 

出雲に移住されたご感想は?

 とても満足しています!出雲に住んでいてよかった、と思うことがたくさんあります。例えば、私は神様とか信仰心というものは大事なことだと思っています。ですが、横浜はそういったことが表に出しづらかったです。怪しい人だと勘違いされてしまいがちで…。しかし、出雲に来てからは神社にお参りに行ったりすることを、地元のおじいちゃんやおばあちゃんから褒められたりしました。今まで、人に嫌われると思っていた自分の考えが、逆に褒めてもらえることに変わり、とても自信がつきました。

 地元の人の中にも、日常の中で神様に感謝しながら生活していたり、月に一度神社に参拝に行ったりする人がたくさんいます。そういった人たちと一緒に生活していると、精神的な成長につながる部分もあります。

 

 

アーティスト活動を出雲で行う意義は?

 意義は大きいですね。イベントの出演頻度は関東にいた時よりぐっと減りましたが、その分ヨガの教室やイベントを多めに開催できますし、私生活も充実します。そして、それらが結果としてアーティスト性に還元されていきます。アーティストって、作品を創っているだけだと枯渇することがあるんですよ。アート活動は生きていくことそのもので、寝る・食べる・どこかに行く・人と話す…といった、すべてが作品の糧になります。そう考えると、発表の場は都会に比べて少なくても、私生活などが充実していくので自分の糧を増やすことができます。

 若いアーティストで、ある程度形はできてきたけどもっと自分自身のことを模索したいという人は、都会よりも田舎に来た方が良い気がします。

 

 

「これからの出雲」について、お考えを教えてください。

 これから出雲を訪れる人は増えると思います。それも、一過性のブームに乗って来る人ではなく、出雲の良さをきちんと感じ取ろうとする人が増えるのではないでしょうか。

 都会の忙しさに疲れた人が喧騒を離れて自然を感じたり、体調を整えたり、伝統芸能にふれることで普段忘れている心を取り戻すことができます。そういったことを求め訪れる人たちが増え、リピーターになったり、友達や家族を紹介してくれたり、人によっては移り住んだりするようになると思います。出雲は、昔から続く大切なことが残っている、本当に素敵な場所です。

 

 

写真・取材・文 NPO法人ふるさとつなぎ 代表 清水隆矢【市よりの委託先】

http://hurusatotunagi.jimdo.com/