UIターン者の声
岡山県からIターン
大河内さんご一家
岡山県倉敷市で生まれた崇弘さんは東京の大学を卒業後、岡山や東京で働いていた。妻のさやかさんが島根県出身だったことから2015年10月に出雲市長浜地区に移住し、現在は海産物の流通を手掛ける企業で営業職として勤務している。都会に比べて「無いもの」が多いからこそ、子どもが自分で考える力が育めそうです。
岡山県倉敷市で生まれた崇弘さんは東京の大学を卒業後、岡山や東京で働いていた。妻のさやかさんが島根県出身だったことから2015年10月に出雲市長浜地区に移住し、現在は海産物の流通を手掛ける企業で営業職として勤務している。
出雲市長浜地区にIターンされた経緯は?
以前は私の出身地である岡山県で暮らしていたのですが、妻の実家が大田市温泉津町なので、妻は島根に帰りたいと言っていました。私も、何度か島根に通ううちに、島根の良さに惹かれていきました。特に、地元の人が当たり前のように神話を語れるところがいいですね。目に見えないものを大切にできる人が多いのが、いいなと思いました。
実際に移住に踏み切ろうと思ったとき、選ぶ職種の幅を広げるため、温泉津町に絞らず浜田市や出雲市でも転職活動をしたんです。(公財)ふるさと島根定住財団を介していくつかの企業の面接を受け、結果として出雲市の企業への入社が決まりました。家は、市役所から情報提供をしてもらった中から見つけた地元の工務店をとおして、出雲市長浜地区の素敵な空き家を見つけました。
今の仕事に決められた理由は?
今は、㈱小林冷蔵という海産物の仲卸の会社に営業職として勤めています。競り場に行き魚を買い付け、スーパーや料亭、仕出し屋などに卸します。
いくつかの企業の中から今の会社を選んだのは、活気や、やる気のある人と一緒に仕事ができそうな環境だったことと、地域で無くなってほしくない産業である漁業に携われるからです。自分が漁師になるのは無理でも、営業職という立場で漁業に関われるならいいなと思ったのです。
仕事をしていくうえで、気の持ち方に気をつけています。例えば、同業他社や周りの人を押しのけて自分が一番になろうというスタンスではなく、漁業関係者みんなで良くなろうというスタンスの方が上手くいくと考えます。なので、会社がライバル同士だったとしても、個人的には円滑にコミュニケーションをとるようにしています。そんなこともあってか、仕事は今のところ順調です。日々新しい発見もあり楽しいですね。
子育て環境としてはいかがですか?
子育て環境として、とてもいいと思います。都会に比べ「無いもの」が多いからこそ、自分たちで創りだせるチャンスがあります。例えば、手付かずの自然の中で遊ぶと、映画やテレビゲームのようにもともと面白く造られたものは無いので、なんでもないところから面白いものを見つけ工夫をして遊びます。このように、子どもに自ら考えてもらえるような子育てができる場所だと思います。たくさん物があるとその中で良いものを選ぼうとしがちですが、無いなら無いで自分たちで創ろうとするので、問題を解決する力が育めるのではないかと考えます。
その他の暮らしについて教えてください。
私のいる集落は、地域の行事や集会がやや多く大変な面もありますが、それはそれでいい勉強をさせてもらっています。地域の人には、Iターン者だからと壁をつくられることもなく、すんなり受け入れてもらえ感謝しています。
地域では、たとえ面識がない人であっても挨拶をしあえるのもいいなと思います。都会だったら、見知らぬ人に挨拶をしていたら強い警戒心を持たれてしまいます。田舎ならではの程良い警戒心が人当たりの良さに反映されていて、心地いいです。島根は良い人ばかりだなってよく思います。
出雲へ移住を考えている人へのメッセージをお願いします。
移住したら、地域の人には自分から情報を発信していくようにするといいです。私も、自分の想いや感じた事などは聞かれなくても人にどんどん話すようにしています。田舎での情報はネットでは無く「人」が持っているので、逆に自分が欲しい情報も人から集めた方が早いです。黙っていると警戒される事もあるかもしれませんが、ちゃんと伝えれば受け入れてもらえます。扉が無いわけではないが押さないと開かない、というイメージでしょうか。色々な事は起こると思いますが、楽しみながら積極的に行動してみてください。
写真・取材・文 NPO法人ふるさとつなぎ 代表 清水隆矢【市よりの委託先】