UIターン者の声
広島県からIターン
越智さんご一家
愛媛県今治市出身で、広島市の企業に勤めていた瑞穂さんは、島根県松江市出身で広島市在住だった明子さんとご結婚。平成27年春頃から島根県への移住を検討し、2016年4月に出雲市佐田町に移住。 瑞穂さんは、町内のチップ製造会社に勤務し、前職とは全く異なる「林業」の現場で、日々汗を流している。
収入は下がったけれど、ストレスが皆無に等しい日々を送れています。
愛媛県今治市出身で、広島市の企業に勤めていた瑞穂さんは、島根県松江市出身で広島市在住だった明子さんとご結婚。2015年春頃から島根県への移住を検討し、2016年4月に出雲市佐田町に移住。
瑞穂さんは、町内のチップ製造会社に勤務し、前職とは全く異なる「林業」の現場で、日々汗を流している。
島根への移住や、林業に興味をもたれたきっかけは?
瑞穂さん:広島の大学を卒業したあと、そのまま市内で介護用品のレンタル・販売業の会社に勤めていました。
前職は色々と精神的にきつい面が多く、転職を考えていました。当初は生れ育った愛媛県今治市に帰ることも考えたのですが、せっかくなら新しい環境で始めてみたいと思っていました。
そんなとき、たまたまコンビニで立ち読みをした情報誌で島根の移住情報を目にし、興味を持ったのです。妻が島根県松江市出身だったこともあり、島根への移住を前向きに考えるようになりました。
色々と情報を調べていた中で、松江市にある「ふるさと島根定住財団」にも話を聞きに行ってみました。そこで、職員の方が林業に関する話もしてくれたのです。
最初は「林業をやるなんて論外。絶対に無い」と思っていました。とてもきついイメージがありましたし、自分にはついていけないだろうと感じていたのです。でも、林業の魅力に関するお話や支援制度のお話を聞くうちに、林業も悪くは無いのかなと思いはじめました。
そして、定住財団にいくつかの企業を紹介してもらい訪問しましたが、中でも好印象だったのが須佐チップ工業有限会社という出雲市佐田町の会社でした。
明子さん:夫が前職と畑違いの林業への就業を目指すことは、特に抵抗ありませんでした。
そこから、出雲市佐田町に移住するまでの経緯は?
瑞穂さん:住居などの生活環境も見たいと思い、2015年の11月にチラシを通じて「NPO法人ふるさとつなぎ」が実施していた「随時開催型しまね暮らし体験in出雲」を知り、申し込みました。
これは、移住を検討している人の希望に応じて個別に案内をしてもらえるプログラムです。僕たちは、地元の人から佐田町の空き家や市営住宅を案内してもらったり、林業経験者の方と交流したりといった体験をしました。
明子さん:地元の人は、人柄のいい人が多いなという印象を受けました。
瑞穂さん:それ以降、2月頃になっても移住場所や、そもそも島根に移住するのかどうかということにも踏ん切りがつかず、ずっと迷い続けていました。
その頃、林業研修のため島根県を訪れました。その帰りに「随時開催型しまね暮らし体験in出雲」で出会った地元の人の1人である、過疎地域支援センター専門員の糸賀さんを訪ねてみたのです。糸賀さんに近況を報告する中で、まだ移住を決めかねていることも伝えました。すると「須佐チップ工業の社長は親戚だから、話を聞いてみてあげるよ」とその場で電話をしてくれました。そこからはとんとん拍子で面接の日程まで決まってしまいました。
そして、実際に面接を受け無事採用していただきました。さらに、妻の仕事の紹介や市営住宅への入居の段取りまで糸賀さんが面倒を見てくれました。あまりにとんとん拍子で物事が動いていくので怖いぐらいでした(笑)
糸賀さんをはじめ、色々な人のお陰で移住することができ、とても感謝しています。
明子さん:私は、佐田町内の温泉宿泊施設「須佐温泉ゆかり館」の飲食部門に勤めることになりました。息子の通う保育所も、市営住宅のすぐ近くにあり助かりました。
暮らしてみてのご感想は?
瑞穂さん:佐田町は田舎ですが、特に不便はありません。近くにスーパーもありますし、車で20~30分程で出雲市の市街地にも行くことができます。ただ、移住したての頃3月でもまだまだ寒かったことには戸惑いましたね。今年は、冬に備えて暖房器具を増やさないといけないかなと思っています(笑)。
市営住宅も日当たりがよく住み心地がいいですし、近くには畑も借りています。仕事にも文句のつけようが無いぐらい満足しています。広島にいた頃よりも給料は下がったのですが、ここではストレスが皆無に等しいぐらいの日々を送れています。
4歳になる息子も、以前よりずっと大きな保育所に通っているせいか広島にいた頃よりのびのび自由にやっているような気がします。
林業のお仕事はいかがですか?
もちろん楽ではないのですが、当初のイメージ程しんどくはありません。思った方向にうまく木を伐り倒すことができた時は爽快ですね。うまくいかないと、他の木に引っ掛かってしまったり手前に倒れたりするので大変です。まだまだ分からないことも多いのですが、一人前になれるよう頑張っていきたいです。
これからもこの仕事は続けていくつもりです。
地方への移住を考える人へのメッセージをお願いします。
私は、当初林業にあまり良くないイメージを持っていたのですが、実際にやってみるとそんなに悪いものではありません。興味がなかったことでも、とりあえず話を聞いてみたからこそ自分の幅が広がり、今の僕があります。このように、移住を考える際は視野を広く持つことも大切だと思います。
田舎では、仮に収入が下がったとしてもお金には変えられないものを手に入れることができますよ。
写真・取材・文 NPO法人ふるさとつなぎ 代表 清水隆矢【市よりの委託先】