出西生姜
8~10月は新生姜の収穫時期。スーパーの目につく場所に山積みにされた新生姜が「旬」をお知らせしている。職場でも新生姜を使って今日の晩御飯は何にしようか~なんて会話でひと盛り上がり。そんな、何気ないコミュニケーションのネタになっている新生姜。季節を暮らしの中で感じていくというのは、まさにこういうことなのだろう。
そもそも新生姜と根生姜をぼんやりと認識していたので、ここで今一度おさらい。一般的に通年流通する根生姜と新生姜の品種は同じ。違いは収穫の時期や収穫後の状態だそう。種生姜から育ったものをすぐに出荷するのが新生姜で、収穫から出荷までに時間を要するのが、根生姜。これによって、水分の含有量や色が変わる。
出雲に来て初めて知った出西生姜の存在。出西生姜とは出雲の斐川町出西地区の限られた畑で作られる島根県の特産品。繊維が少なく、ピリッとした辛みが特徴だ。
実際に、近所のスーパーにて、新生姜を購入!産地の異なる新生姜があったので、せっかくだからと島根県特産品の出西の新生姜と他県の新生姜を比べてみることにした。
見た目:出西生姜は少し黄みがかっている。表面も比較的なめらかでつやがある。
他県のものは薄いベージュで表面が少し硬そうに見える。
すりおろしてみた:出西生姜は適度にみずみずしく、生姜が立っている?という表現が正しいかわからないが、とにかくしっかりずっしりしている。色もしっかりとした黄色。一方、他県の新生姜は水分量がかなり多く形を維持することが難しい。色は白っぽい。
すりおろして、そのまま食べてみた:出西生姜は香り高く辛みが強くて、後にひく。インパクトあるな!という印象。他県のものは、出西のものほど、辛さを感じられず、少しえぐみを感じた。このえぐみは出西生姜に出会っていなければ「生姜」ってこんなものだろうと思っていたはずなのに、食べ比べてしまうと明らかに違った。
今回、出西生姜を他県のものと比べてみたが、違いを実際に見て、触れて、食すことで感じられたことに満足している。今まで“ただの”薬味としてしか考えてこなかった生姜への印象を180度変えてくれた出西生姜。この味を知ってしまった以上、もう引き返すことはできない。次手にとる生姜も、そりゃ決まって出西生姜だよね。