プリンIターン女子 会員No.129

2025.08.12

キラキラビーチ

「キララビーチで花火が上がるらしい」そんな噂を聞いて、夏の夕方、多伎町へ向かった。

この日は「多伎キララまつり」。道の駅横の広場は、太鼓やバンド演奏、じゃんけん大会、抽選会と盛りだくさん。屋台の香ばしい匂いと人々の笑い声に包まれて、夏祭りらしい熱気が広がっていた。

けれど、駐車場はどこも満車。しばらく周辺をさまよい、ようやく少し離れた海沿いの駐車場に車を停めた。会場のにぎわいから離れ、浜辺で花火を待つことに。その時間が、思いがけず特別だった。夕暮れの浜辺は、ほとんど人影もなく静か。波の音だけが響く中、小さなカニが砂浜をすばやく横切っていく。

空は赤と青が混じる美しいグラデーションに染まり、ぽつんと浮かぶ三日月が、海の上に“月の道”を描いていた。波が揺れるたびに光がきらめき、まるで海が宝石のように輝いていた。

やがて空に「ドン」と響く音。夜空に花火が咲き、その光が海にも映る。波打ち際に広がる光と色。ここは、静かな穴場だった。にぎやかな祭りと、ほとんどヒトがいない浜辺。その両方を楽しめた、贅沢な夏の夜。

キララビーチは、“キラキラビーチ”だった。

 


キララビーチ

出雲市多伎町田岐