プリンIターン女子 会員No.129

2025.04.30

出雲弁⑯

銀行で、高齢の男性が行員に向かってこう話していた。
「ええにょばに どまかされて ててぽっぽですわ 笑」

「ええにょば」は「美人さん」を意味する出雲弁。
鳥取でも年配の人が使うため、意味はすぐに理解できる。
問題は「どまかされて」「ててぽっぽ」の部分。文脈から想像しにくいため、出雲弁に詳しい友人に確認した。

「どまかされて」は「騙されて」、「ててぽっぽ」は「無一文」の意。つまり意味は、「美人さんに騙されて、無一文になってしまいましたわ 笑」

高齢男性の冗談で、目の前の若い女性行員に「君が美人だから、つい大金を預けちゃいそうだ」と笑いを取ったものと推測。おじいちゃん若いな。
行員は意味がわからず戸惑いながらも、笑顔で応対していた。方言って知らなければ通じないが、知れば一気に距離が縮まる不思議な力があるよね。

 

2025.04.20

焼肉むべ

出雲市駅から徒歩3分。
「焼肉むべ」へ行ってきた。店内は温かみのある内装で落ち着いた雰囲気。座敷に案内され、靴を脱いでゆっくりくつろぎながら注文。

まずはサムギョプサル。厚切りの豚バラ肉が鉄板の上でじゅうじゅうと音を立てる。自分でハサミを使って肉を切るスタイル。ちょっとしたライブ感があり楽しい。焼き上がった肉をサンチュに包み、キムチやニンニク、ネギ、味噌と一緒に巻いて食べる。ジューシーで香ばしく、野菜のシャキシャキ感と合わさって、何個でも食べれる美味しさ。

次にビビンバ。ご飯とナムルを一緒に箸で食べようとしたら、コチュジャンごと全体をスプーンでよくかき混ぜて食べるのだと教わる。韓国語で「ごはん」は「パ(밥)」と発音するのだそう。「ビビンバ」は正確には「ピビンパ」と呼ばれ、「混ぜるごはん」という意味になる。ちなみに「クッパ」は韓国語で「スープごはん」の意味らしい。

焼肉メニューには、地元、島根県産のしまね和牛が使われている。ホルモンやレバーも新鮮でクセがなく、噛むごとに旨味が広がる。上質な焼肉と韓国料理の両方が本格的に楽しめるのがこの店の魅力だ。

接客も丁寧で、料理の説明やおすすめも気さくに教えてくれる。初めてでも居心地が良く、地元の常連さんが多いのも納得だ。家でごはんを食べる感覚に近いのかもしれない。次回はさらに多くのメニューを制覇したい。店名の由来も気になるところ。「むべ」って果物の名前だったような。次回ママさんに聞いてみよう。


焼肉むべ

出雲市今市町971-24

 

 

2025.04.08

不老山荘嚴寺

移住して間もない頃、土地勘もなく道に迷うことが続いた。
ナビに頼らず、何とか自力で帰ってみようと決めたその日は、思わぬ遠回りが待っていた。あれは、1年前の春のこと。

国道431号線を北山沿いに走っていると、突然目に飛び込んできた光輝く大樹。その美しさに心を奪われ、私は車を引き返すことにした。たどり着いたのは「不老山荘嚴寺」。寺の入口には金剛力士像と羅漢像が立ち、私が近づくと、センサーが反応し、灯りが静かにともった。その灯りに導かれるように、目にしたのはライトアップされた「枝垂れ桜」。その姿に思わず息をのんだ。

この桜は、80年前に焼失した親木の孫生(ひこばえ)だという。現在の見事な枝振りと、花のつきからは信じがたいが、かつては樹勢が衰えていた時期もあったのだそう。近年は樹木医と寺を見守る人々の手によって、再び見事な花を咲かせるようになったという。

今年はこの季節、あえて遠回りして帰路につく。そしてついにその日がやって来た。桜は満開になり、その美しさを私に見せてくれた。裏山では、時折鹿が「ピーーー」と鳴き、静けさの中に響く音が心地よい。人が少ないこの場所では、ゆっくりと桜を眺めることができる。ここは、私のお気に入りの桜スポット。心が安らぐ、そんな場所だ。

Iターン女子 会員No.129

プリン

鳥取からきました。移住者目線で日々の暮らしを綴っていきます。立派な地元民になるべく発見探検するぞ。