プリンIターン女子 会員No.129

2025.08.30

出雲弁⑳

先日、ご近所さんから料理のお裾分けをいただいた。
「これ、まいずね~。だまされたと思って、たべてまっしゃい!」

思わず、え?っとなった。
まずいものを作ったけど食べてみろと?

これが出雲弁の面白いところで、標準語にすると
「これ、美味しいんだよ~。だまされたと思って食べてみて!」

「まいずね~」は一見「まずいね~」みたいに聞こえるけど、美味しいよ~という意味。
ちなみに「まずい(不味い)」は出雲弁で「まんない」。これはこれで難しい 笑

そして、「たべてまっしゃい!」の「まっしゃい」は、「~してみなさい」という意味。
「遠慮せんでいいよ」「安心してやってみてね」というような優しさがギュッと詰まった表現と言っても過言ではないと思う。言葉の響きがとても可愛らしい。

出雲弁には出雲の人の温かい人柄がそのまま表れている。
だから、「食べてまっしゃい!」とすすめられたら、
ただの「食べてみなさい」ではなくて、出雲の愛の言葉として受け取ってほしい。

自炊ではなく、たまには外で誰かが作った美味しいごはんを食べたくなる。
さてどこに行こうかと悩んだとき、近所の換気扇から甘辛い醤油の香りが漂ってきた。
「ああ、今日はアレ食べよう」心が決まり斐川町の「創作ダイニングkohaku」へ車を走らせる。

落ち着いた雰囲気の中にほんのり洋風のエッセンスがあって、居心地がいいお店。
メニューを見ると、やっぱり気になるのは名物の「豚巻大根ステーキ」。
厚めに切った大根を、ふろふき大根のようにやわらかくなるまでじっくり炊き上げ、甘辛い醤油だれに漬けた豚肉で包み、鉄板で香ばしく焼いている一品だ。箸を入れると、じゅわっと大根のやさしい旨みが広がり、豚肉のジューシーさと甘辛いたれが絶妙に絡み合う。まさにごはんがすすむ味で、初めて食べたときからすっかり虜になってしまった。

この店のすごいところは、料理を出して終わりじゃないこと。
食べ終わったお皿を厨房に戻すとき、必ず残り具合をチェックして、もし食べ残しがあればその原因を探り、もっとおいしくなるように工夫を重ねているという。お客さんの反応を真剣に受け止めているからこそ、ここまで愛される料理が生まれるのだろう。

ちなみに、8月25日は浴衣で来店すると10%割引になる限定サービスがあるらしい。
夏の終わりに、浴衣でおいしい料理を味わうのもいい思い出になりそうだ。こんなふうに、たまには外で誰かが丁寧に作った料理に身をゆだねる時間も大切だなと思う。


創作ダイニングkohaku

出雲市斐川町直江4521-2
0853-72-2005

「キララビーチで花火が上がるらしい」そんな噂を聞いて、夏の夕方、多伎町へ向かった。

この日は「多伎キララまつり」。道の駅横の広場は、太鼓やバンド演奏、じゃんけん大会、抽選会と盛りだくさん。屋台の香ばしい匂いと人々の笑い声に包まれて、夏祭りらしい熱気が広がっていた。

けれど、駐車場はどこも満車。しばらく周辺をさまよい、ようやく少し離れた海沿いの駐車場に車を停めた。会場のにぎわいから離れ、浜辺で花火を待つことに。その時間が、思いがけず特別だった。夕暮れの浜辺は、ほとんど人影もなく静か。波の音だけが響く中、小さなカニが砂浜をすばやく横切っていく。

空は赤と青が混じる美しいグラデーションに染まり、ぽつんと浮かぶ三日月が、海の上に“月の道”を描いていた。波が揺れるたびに光がきらめき、まるで海が宝石のように輝いていた。

やがて空に「ドン」と響く音。夜空に花火が咲き、その光が海にも映る。波打ち際に広がる光と色。ここは、静かな穴場だった。にぎやかな祭りと、ほとんどヒトがいない浜辺。その両方を楽しめた、贅沢な夏の夜。

キララビーチは、“キラキラビーチ”だった。

 


キララビーチ

出雲市多伎町田岐

Iターン女子 会員No.129

プリン

鳥取からきました。移住者目線で日々の暮らしを綴っていきます。立派な地元民になるべく発見探検するぞ。