プリンIターン女子 会員No.129

2025.10.03

清廉の花園

出雲の名物といえば、やっぱり出雲そば。
移住前から出雲はよく訪れていたし、暮らしはじめて2年になろうとしているが、一度も蕎麦の畑を見かけることがなかった。

季節はめぐり、白い花が咲いているはずなのに、
いったいどこにあるのだろうと、不思議に思いながら日々を過ごしていた。

そんな中、思いがけず偶然にもその蕎麦畑に出会うことができた。
いつもと変わらぬ通勤路のはずが、朝、家を少し早く出たおかげで、普段は通らない遠回りの別ルートを選ぶことになった。その道の途中、田んぼに囲まれた細いあぜ道で、白く輝くそばの花を見つけたのだ。

朝露をまとった稲穂が風に揺れて、黄金色にキラキラ光っている。
その畔には、燃えるような赤い彼岸花がぽつぽつと咲き、そして緑の茎の間にそばの真っ白な花が広がっている。それぞれが鮮やかな色をしているのに、不思議なことにお互いを引き立て合い、見事な調和を作り出していた。目の前に広がる光景は、まるで絵画のように美しかった。

朝晩はすっかり涼しくなり、秋の気配が強まっている。風が心地よく、空気が澄んでいる。そんな季節の流れを感じながら、今年も自然はちゃんと巡り、花は咲くべきときに咲いているのだと改めて思った。

そして、少しだけ早く家を出て、普段とは違う遠回りの道を通ったことで、この素晴らしい景色に出会えたことをありがたく思う。早起きは三文の得とはよく言ったものだ。ちょっとした偶然が、こんな素敵な瞬間をもたらしてくれる。